世界の命運を賭けて今! 恋が危険な領域を飛び越える系アニメーション、遂に最終話であります。
クソみたいなリセットは駆くんが代表してちゃんと否定し、揺り籠であり卵の殻だったノルンはしっかり破壊してみんな世界に旅立ち、開放感のあるいい終わり方だったと思います。
恋も情感たっぷりにまとめ上げた……と言いたいところだが、朔也に厳しい世界過ぎた……な~に物分かりよく一歩引いてんだてテメー!!
桃と青がキッチリ夫婦に収まったので、黒は夏彦さんと朔也どっちにしようか決めれなーい! 幼馴染へベ・ツ・バ・ラ(はぁと)みたいな終わり方でも……あんま良くねぇな。
朔也……君は素敵な男の子だったよ……。

リセットのクソっぷりは優しいアイオンちゃんがちゃんと警告してくれたので、視聴者の違和感をしっかり行動に反映させて、否定されるルートでした。
元々乗るんという密室に閉じ込めることで特別感と親密な関係性を確保する構造なので、世界を代表して公共性の側面からリセットを否定するのは不可能。
なので、『恋が否定される』という個人的側面に論点を絞り、こはると駆に代表させてリセット否定のシーケンスを処理したのは、手持ちの材料ではベターな解法だと思います。
まー話の真ん中からちゃんと公共性への目配せをして、堂々とリセットを否定できる材料を揃えておけって話なんだが、それをやると恋愛関係の濃度が薄くなるだろうしなぁ……難しい所。

そこら辺のロジックの弱さはアイオンの物分りの良さでカバーしていて、空汰がちょっと優しくしたらかなり満足して崩壊の運命を受け入れていった。
過去の恋人(に投影した自分の身勝手なエゴイズム)にしがみついて、世界を滅茶苦茶にしたクソ史狼さんとは大違いであるが、まぁラスボスとヒロインの仕事が異なるのは当然といえば当然だ。
リセット管轄システムという物理的立場としても、時間を超えて誰かを待ち続けていたヒロインとしても、アイオーンは誰かが拾わなきゃいけない立場。
なんだけど、メインは自分の恋愛に一本槍(これは悪いことではない。メインの仕事をしかりやることで、作品のカラーがはっきりと出たのは良いことだ)だし、それを邪魔しないようヤモメたちは大人しい動きだしで、アイオーンを拾って掘り下げるキャラがいない状況。
アイオーンが孤独なままだと史狼さんと同じように、エゴイズムを暴走させて強制リセットとなりかねないわけだが、そこら辺はフリーな立場の空汰を上手く使ってケアした感じだ。

実際の話、クソみたいなリセットシステムをずーっと孤独に運営し、自分の意志を押し殺して機械で在り続けたアイオーンは、共感できる『どーにか助けてあげて欲しい』キャラクターに仕上がっていたと思う。
彼女にちゃんと空汰が寄り添って、救いのある別れをコンパクトに演出できていたのは、なかなか良かったんじゃないか。
やなぎなぎさんが声やってるのを上手く使って、『歌』と『感情』を結びつけて演出していたのも、心なきロボ子が人情を知る話としてスマートな作りだったと思います。
ホントねー、あの子が自分と他人の境界線をしっかり引ける出来たロボじゃなければ、こんな綺麗に終わってないよマジ。


んで、駆くんは炎に焼かれながら嫁さんを救出し、リセットが否定されて世界は新しい方向に進むと。
ノルンがぶっ壊れてみんなバラバラになる終わり方は、開放感があって良かったな。
各々の人生をしっかり歩いている姿の爽やかさと頼もしさは、ノルンの綺麗な墓場感と背中合わせだと思うので、『美術でどういうイメージを伝えるか』というディレクションにクリティカルな成功を見せたアニメだったねぇ。
最後の再会を崩壊後のノルンにして、ぶっ壊れても別の良さがある故郷を絵でしっかり見せたことで、主人公たちの選択が悪いものではなかったと伝えることも出来てるし。

七海は超安定の暁人のお嫁さんルートであり、記憶封印の伏線もきっちり回収して百点満点のハッピーエンド。
元々この二人は好きあっているのに素直になれない系カップルであり、お互いの気持が公開され、誤解が解ければ揺るがない安定性を持っていたわけだ。
そんな強みをしっかり認識して、ブレない絆の気持ちよさ重点で最後まで描いてくれたのは、見ていて気持ちよかったですね。

んでブレブレノルン一号ことこはるは、メソメソ泣いてみたり、待つ女を演じてみたり、やっぱ待つのダルいんで自分なりの自立を小さく演出してみたり、主人公らしい揺れ方だった。
七海が安定感を売りにしているのに対し、こはるサイドは恋愛感情自体は素直に好き好き両思いなのに、やれ駆のトラウマやら、やれこはるの不安定な精神やら、クソ親父との因縁やらで揺れ動く、サスペンスが持ち味だった気がします。
『落ちるアニメ』だったノルンを再確認するようにしっかり落ちる最後のアクションシーン引っくるめて、このコラも自分たちらしい恋愛を走り切ったなぁという印象。
最後しっかりプロポーズして、恋愛のゴールに辿り着いていることも含めてね。


そーしーてー!
ブレブレノルン二号こと黒ノルンこと深琴は、夏彦さんといっしょにブランニュー・デイにとびだせルートでした。
他二人と比べると、深琴が夏彦さんになびく状況を細かく演出できなかった感が強くて、正直『え、そっち?』という感想が先に出るが、まぁそっちを選んだのだ……一人大きな屋敷で待ちぼうけな朔也が哀れすぎる……マジ……。
朔也は悲劇的な予言を背負いつつ、深琴を第一に思う献身的な男で、自分と他人の境界線もバランス良く引けるナイスガイとして、ちゃんと描かれてました。
結果俺は朔也に強く肩入れしてしまったのだけど、サスペンスとの兼ね合いで夏彦さんが事態に介入するのが遅れ、朔也を押しのけて恋人になっても良い説得力を、巧く生み出せなかったに思う。
ここら辺は最初っからマン・ツー・マンで恋愛街道を突っ走ることが許された他二人と、二人の男の間で揺れ動くことが恋のドラマだった深琴との違いだし、後者のほうが確実に難しいルートだったと思う。
単純に尺1/2だしな。

夏彦さんの描写の薄さはすなわち『外側』の説得力の薄さにも繋がっていて、リセット全体が舞台装置化したのも、お話の全要素を活かしきるという見方では、惜しいポイントだった。
深琴が『新しい世界』に積極的に飛び込んでいく、つまりリセットを否定して手に入れた『新しい世界』には価値が有るのだと証明する立ち位置なればこそ、夏彦さんとの対話シーンにもう少ししっかり時間を使って、彼と『外側』の魅力をしっかり確立することは重要だったように思う。
人数は多い、話の要素は山盛りで、どっからその尺をひねり出すのかって問題はあるけどね。
今回のこはるクエストを見ていても解るけど、じっくりと美麗な世界を映すことで、非常に独特な魅力が生まれているわけで、そこを焦ってしまえばこのアニメのパワーは露骨に落ちていただろうし、難しい所だ。

どちらにせよ、深窓の令嬢である深琴が『新しい世界』に飛び出していくエンディングは、キャラが秘めている物語の可能性を活かす意味でも既定路線であり、朔也はその段取りを飲まされる形で『都合のいい男』になってしまった。
そのもの分かりの良さというか、自分を主張し過ぎない品の良さが僕はとても好きなんだが、その美点が敗北を呼び込んでしまった以上、あんま褒められないポイントでもある。
エゴむき出しに深琴を求め、夏彦に挑戦するルートもあったんだろうが、それやってたら収まらんだろうしな……いやさー、物分りの良い幼馴染がそろそろ勝っても良いだろマジでさー。
お話に対して協力的なキャラこそワリを食う不条理は、創作という混沌をまとめ上げる上でよく起こる事例なのだが、だからこそ巧く乗り越えて欲しかったポイントだなぁ……。

とは言うものの、推しが負け犬になったからといって話全てが否定されるわけではないし、各ヒロインの恋の到達点をじっくり語る後半15分はなかなか馥郁たるものがあった。
戦闘機超カッケーしな……やっぱ推進式は効率をぶっ飛ばした、無条件のカッコ良さがあるよね。
好きになれるキャラクターたちが、ちゃんと幸せになれた終わり方で、とっても良かったです。

 

というわけで、ノルン+ノネット終わりました。
10人を大きく超えるメインキャラクター、能力モノと閉鎖空間恋愛劇とセカイ系を混ぜこぜにした横幅広いジャンルと、サイズが大きいお話を、しっかり走りきっていたと思います。
メイン攻略対象をハッキリさせ、分かりやすいシチュエーションを活かしてグイグイ恋を進めるメインの捌き方も良かったんですが、神話への目配せが効いた用語選択とか、オレンジが超気合入れた美術の雰囲気とか、各種メカの気合入れっぷりとか、側道もしっかり整備していたのが良かったです。
乙女ゲー見てたはずなのに、SF方面の欲求をフルチャージ出来るとは、正直思ってなかったよ。

キャラも個性がありつつ気持ちの良い連中で、彼らの恋が徐々に深まっていく甘酸っぱさを、楽しく堪能させてもらいました。
まぁ言うたかて、基本1ヒロイン1攻略対象でありサブキャラは賑やかしと割りきって進んでいたわけだが、その割り切りこそが多人数を巧く捌いた源泉だろうし、サブはサブなりに存在感のある見せ方してもらえていたと思うし……正宗さんは怪しいか……。
こはる-駆のクソ親父しかり、七海-暁人/深琴-朔也の過去の因縁しかり、乗り越えるべき障害をちゃんと設定して、キャラの人格的成長を促すイベントをしっかり踏んでいったのも良かったね。

ノルンや『世界』、『リセット』という大きな設定に関しては、なかなか評価が難しい所。
スケールを世界の命運レベルまで引っ張り上げることで生まれていた特別感がこのアニメの強みだってのは確実にあるし、同時にスペシャリティを醸し出す舞台装置以上のものに『リセット』がなれていたかというと、怪しいところである。
ここら辺はこのアニメの強みである割り切りの良さが影響している所で、徹底してノルンの『内側』で物語を進行させることで、恋愛劇の濃厚な圧力と、サスペンスのドキドキを高めることができていたわけで。
そしてその徹底こそが『外側』との交流機会を奪い、『リセット』という大きな選択肢を主人公たちが行う説得力を弱めるという、難しい結果に繋がる。
そこに瑕疵があるとても、大量の登場人物とジャンルをさばき、何を描いて何を描かないのかハッキリした意思を完遂した制作姿勢は、視聴者に何を楽しんで欲しいかハッキリとしたメッセージになっていて、とても良かったです。
色気を出して中途半端になるより、軸がはっきりしてやり切ったほうが全然面白いし、多様なジャンルを横断するときに必要な細かい気配りは、このアニメちゃんとあったしね。

と言うわけで、ノルン+ノネットも無事終わりました。
キャラ沢山いたけど、みんな好きになれるキャラで、好きになれるシーンをたくさん作ってくれて、良いアニメだったなぁ。
戦闘機やらロボやらコンソールやら、男の子のドキドキポイントを気合入れてくれたのも良かったし、好きになれるポイント満載の、素敵なアニメでした。
とっても楽しかった、ありがとうございます。